山梨県富士北麓忍野の名水と国産大豆、にがりで作る名代八海豆腐

八海とうふの歴史は古く、創業は大正年間。現社長の祖母の代まで遡ります。 山梨県富士山北麓が育んだ天然湧水が、豆腐の加工に適していること、また、米作に適しない土地で野菜、特に大豆の栽培が盛んだったことで、忍野の豆腐が定着。昔は多くの豆腐屋が軒を連ねており、一斗缶に水を張り出来たての豆腐を入れて、富士吉田市や西桂町など近隣に行商に歩いたと言います。

八海とうふのこだわり

その1 忍野村の湧水

豆腐の90%は水。つまりどんなに良い大豆や製法にこだわりがあっても、水の良しあしで味が大きく変わります。日本全国の豆腐の産地は、ほぼ日本でも有数の水が綺麗な場所と言うのも、あながち偶然ではありません。弊社の商品名「八海とうふ」の八海は、名水100選でも名高い忍野八海が由来となっています。忍野八海は、 その昔、宇津湖(忍野湖)の湖底だった忍野盆地の名残で、そのために豊富で綺麗な水が湧き出ることで知られています。

 

その2 素材へのこだわり

八海ざる盛り豆腐
八海ざる盛り豆腐

湧水と相まって、八海とうふのこだわりは素材。北海道産の遺伝子組み換えでは無い大豆を100%使用しています。この大豆は、煮豆用の最上級の北海道産トヨマサリ等(一部山梨県産大豆も使用)で、揚げには金沢産とその大豆も使い分けしています。また、豆乳を豆腐として凝固させるのに不可欠な、にがり(苦汁)も大島産海精にがりを使用しています。大島産のにがりは、にがりの主成分であるマグネシウムのみならず、ミネラルが豊富なことで知られ、味もまろやかになります。

その3 消泡材を一切使いません!

消泡剤無しで大豆の風味をそのままに
消泡剤無しで大豆の風味をそのままに

当店の豆腐には一切消泡剤を使用していません。豆腐の歴史を考えると、例えば江戸時代にグリセリン脂肪酸エステルとか、レシチン、炭酸カルシウムなどは含まれていません。消泡剤は豆腐を作る工程で、呉(大豆をすり潰した状態)を煮込んで豆乳を抽出する時に発生する大量の泡を除去するのに使われます。泡をそのまま残すと、作業が出来なかったり、泡のまま吹きこぼれてしまいます。そのため、昭和初期等では石灰に石油を混ぜて使っていたりしました。戦後になり添加物として、上述のグリセリン脂肪酸エステルなどが使用されるようになり、大量生産が可能となりました。消泡剤添加の豆腐は、品質が均質化するなどの説もありますが、大豆自体の風味を考えると使わない事が一番だと思っています。明治期に書かれた豆腐集説という豆腐の書物には、グリセリン脂肪酸エステルの代替として油残滓を使用していたと書かれていますが、いずれにしても添加物であることに変わりは無いのですから、無ければ無い方が素材の風味を殺しません。 消泡剤を使わないと、1割の豆乳を無駄にすると言われていますが、味にこだわるならば当然だと考えています。